悠々日記〜7人家族古民家暮らし〜

脱サラした父ちゃんが山奥の古民家に移住し、5人の子育てに奮闘しながら悠々自適に暮らしている日々の生活をゆる〜く発信します。

御来光と豚のいびき〜3日目〜

8才の息子と富士山に登ってきた。我が家は7人家族なので、息子との初めての二人旅はお互いとても貴重な経験で、素晴らしい思い出になった。

 

初日のエントリーはコチラ↓

息子と富士山に登ってきた〜1日目〜 - 悠々日記〜7人家族古民家暮らし〜

 

前回のエントリーはコチラ↓

 息子と富士山に登ってきた〜2日目〜 - 悠々日記〜7人家族古民家暮らし〜

 

 

富士山を登り切った余韻に浸りながら、夕陽も星空も見ずに息子の寝顔だけを見ながら寝てしまった俺は、突然の目覚まし音で目が覚めた。

この頂上富士館は全員4時起床、5時チェックアウトが規則になっている。(鬼長官が宿主なんだと思う)

 

誰かが四時前に目覚ましをかけていたんだろう。自分は携帯の充電が残り僅かしかなかったので、御来光撮影の為に電源を切っていた。

目覚ましもかけていなかったので、このまま俺も起きるか布団の中で自問自答していた。

周りはガサガサ荷物を整理している音がするなと思ったら、すぐ隣から物凄い音が発生している事に気がついた。

 

「ぐごぉがぉぉおおおおお…ぐごぁぁがぉぉおおおおおお」

 

なんだコレは⁉️

まさかコレはいびきなのか⁉️

聞いた事もないような爆音が部屋中に響いている。俺の横から。

既に完全に目が覚めて意識もはっきりしている。これでは到底眠れない。

起きるしかないな。そう思ってザックの中の腕時計を見た瞬間、自分の目を疑った。

 

(おぃ。まだ2時過ぎじゃないか。)

 

さっきの目覚ましは何の為のセットだったんだ。3つぐらい隣の人が赤いヘッドライトをつけながら荷物を整理している。

 

(お前は何故こんな時間に荷物を整理しているんだ?お前か⁉️目覚ましをかけた奴は。)

 

隣から止むことのない爆音のいびきを聞きながらフリーズした。トイレに行こう。そしてついでに外に出られないか見てこようと思い立ち、すぐにヘッドライトを片手にトイレに向かった。隣には巨漢が横たわっている。

 

そういえば若い頃に出入りしていた車屋の社長が100kgオーバーの巨漢で同じ様に想像を絶するいびきをかいていたな。寝る前にあなたを見た瞬間によぎった悪い予感はこの事だったのかと、トイレに向かいながら思っていた。

 

用を済ませて玄関に向かったが、施錠されていて出られない。というか外からシャッターが降ろされていて、外の様子すらわからない状態だ。夜間外出禁止が規則なのは知っていたが、どちらかといえば今は早朝だ。見逃した星空を見て朝を待ちたいと考えていたが、鬼長官に阻まれてしまった。完全に閉じ込められている。

 

(くそっ。あそこに戻るしかないのか。)

 

もしかしたらいびきは一時的なもので今は静かになっているかもしれない。

そんな甘い期待は布団に戻ってきて吹き飛んだ。仕方なく布団に入るが、眠れる訳もない。

布団を頭まで被ってもあまり効果はない。それぐらいデカイのだ。

しかもこの布団のサイズが小さい。セミシングルとでも言おうか。普通のシングルサイズよりも細いのだ。

 

まるでセミダブルで隣の巨漢と一緒に寝ている様な距離感だ。しかもこっち向いて寝てやがる。

 

 まるで地獄。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、その時の俺は実際にそう思っていた。

眠れない時間は途方もなく長く感じる。

時折、豚のいびきにも変化が生じる。

 

「ぐごぉがぉぉおおおおお…ぐがっ………………」

 

呼吸が止まるのだ。

余計な心配をしてしまう程、止まっている事もある。そして、遂に

 

「ぐごぉがぉぉおおおお…ぐごぁっ………すー……すー……」

 

呼吸が通った‼️

おぉぉ‼️マジか‼️おめでとうっ!

と心の中で一人歓喜していたが、数分後には安定の爆音のいびきが復活していた。

いびきの研究をしていると、厨房の辺りから作業音がしてきた。時は3時。朝食の準備をしているに違いない。事情を説明をして玄関を開けてもらおうと思い、ヘッドライト片手に食堂に向かった。

だが、厨房もシャッターが降ろされていて、従業員と接触できない。鬼長官め、徹底して隔離してやがる。

諦めて布団に戻り、朝を待つ事にした。

 

 

奇跡の御来光

気がつくと4時になり部屋の電気が点灯された。あれから少しは寝れたみたいだ。

息子を起こし、荷物をまとめて朝食を済ませる。出発の準備をしていると従業員から外は小雨が降っていると伝えられた。

 

(マジか。もしかして御来光は見られないのか。)

 

そんな不安がよぎりながら、レインコートを着て、ザックにレインカバーを取り付ける。

準備が整い、外の様子が見たくて表に出ようとすると、外には開店を待っている登山者で溢れており、一度外に出ると中には戻れないと言われた。外にはびしょ濡れの登山者がいた。小雨どころではなさそうだ。

 

「御来光は難しいですか?」

 

と従業員に尋ねると

 

「まぁ無理でしょうね。」

 

と、素っ気なく返された。

御来光も見れないのに雨の中外に出てもどうしようもないなと思い、中で待機する事に。

息子には「残念だけど、雨が降ってるから御来光は見られないみたい」と伝えると「雨なら仕方ないよね」と答えた。

 

(確かにそうなんだが、折角頑張って頂上まで登った息子に御来光を見せてやりたかった)

 

俺の方が残念な気持ちで一杯だ。

日の出は5時頃。そして5時に開店となり、外の登山者が雪崩れ込んできた。宿泊客は席を譲らなければならない。御来光が見られないなら、無理やり5時にチェックアウトさせなくても良いじゃないかと思ったが、人混みが凄かったので、息子と一旦外に出た。結構な雨だ。霧がかかっていて、風も強い。下山するには早過ぎるし、何より危なそうだ。

 

外は寒いので、再び中に戻り売店を見てみる事に。特に何もない。正直ろくな品揃えではない。山頂記念にと、日の丸の旗を1つ購入した。日付をスタンプしてくれるそうだ。

その時、無愛想な従業員が

 

「あっ、もしかしたら御来光見れるかもしれませんよ?」

 

と話しかけてきた。外に目を向けると霧が晴れて空が急に明るくなり始めている。お礼を言って息子と急いで外に出た。

 

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それまでの天気が嘘の様に、御来光を拝む事ができた。

 

息子の肩を抱きながら、感動して泣いた。

余りの美しさに。そして、諦めていたから余計に嬉しさが込み上げてきた。ここまで頑張って辿り着いた息子にこの景色を見せる事ができて、息子とこの景色を一緒に見る事ができて、感謝の気持ちで一杯になった。

 

(ありがとうございます。)

 

自然と心の中で呟いていた。

 

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逆光なのは分かっていたが、記念撮影をした。

 

外は寒く、息子は一旦中に戻るというので、山小屋まで送って、再び一人で御来光を拝みに行った。刻々と変わっていく景色に感動しながら、本当に来て良かったと実感した。

これからも頑張ろうと思えた。

 

周囲ではガイドの人等が、こんな事は滅多にないよと伝えていた。天気が変わりやすいのが山だけど、御来光のタイミングで雨が上がって霧が晴れるなんて滅多にある事じゃないよ、と。

中には自分の言った通りだとか、祈願したおかげだとか、うそぶいている人もいたけど、そんな事はどうでも良い。とにかく見れて良かった。ありがとうございますという感謝しかない。

 

そして、御来光のタイミングで僅か5分間だけ晴れ間が出た後は再び霧がかかって小雨が降り出してきた。まさに

 

奇跡の御来光

 

 そんな感じだった。

天気が本格的に崩れる前に山頂の吉田口の山小屋を目指す事にした。不安がる息子を説得し、霧雨が横から降りつける中、歩き始めた。

目的は下山用に木の杖を買う事だ。宿泊した山小屋には残念ながら置いてなかった。

昨日浅間大社の方が吉田口の山小屋は品揃えが豊富だからあるはずだと教えてくれたのだ。

 

道中吹き飛ばされそうな風の中、俺の腕にしがみつきながら息子は頑張って歩き続けた。途中休憩したいと言ったが、休める場所もなく、寒くて雨の中じゃ体力が削られるだけなので、頑張って貰った。30分程で到着した。

 

吉田口の山小屋は人気のルートなだけあり、登山者で溢れていた。雨のせいで、食堂も外まで行列。一旦列に並んで、売店に買い物してくると後ろの外国人に伝えて列を離れた。

 

「お父さん、英語喋れて凄いね!」と息子が話しかけてきて、「まぁな。」とか言いながら得意気な顔をしている自分がいた。

 

売店で御土産と杖を買った。杖には富士登頂、山頂記念というスタンプがしてある、山頂オリジナルだ。この杖に下山しながら焼印を押して貰うのも目的の1つだ。

隣の久須志神社でも焼印を押してもらい、寒いので息子は中で待機させ、食堂の列に戻った。

アメリカから来ていた黒人グループで、一人の女性が手を寒そうにしていたので、カイロを1つお礼に渡すととても喜んでいた。

 

食堂で暖かいうどんと豚汁を食べ、ココアを飲みがら天気の回復を待つ。少し日が出てきたのを見計らって、再び富士宮口を目指した。雨は止んだが、風は強い。元の山小屋に到着し、休憩した後、いよいよ下山する事に。

 

天気は徐々に回復し、息子も好調に下山できた。山小屋で休憩しながら焼印を押して貰い、約5時間で6合目まで辿り着いた。

下山途中、元気に挨拶をする息子に登山中の人達が声を掛けてくれた。

 

「元気だね〜上まで行ってきたの⁉️凄いね‼️」

 

とか

 

「まだ小さいのに凄いな〜負けてられないな。」

 

等と言われていた。そのやり取りを見ながら、8才の息子がこれから山頂を目指す大人達を勇気付けている、息子の元気な姿に励まされているのだと思った。当然息子はそんなつもりは微塵もない。ただ挨拶しているだけだ。

俺自身、子供達から学ぶ事や教えられる事は普段の日常の時から少なくないが、息子の小さな身体から溢れているエネルギーが行き交う大人を励まし勇気付けているのを目の当たりにして、単純に息子の事を凄いなと、誇らしく思えた。

 

初日に宿泊した6合目の宝永山荘で昼食を取り、登頂できましたと報告してから5合目に向かった。帰りに近くの温泉「天母の湯」に寄り2日ぶりの風呂に入って汗を流した。

安くて薬草湯も素晴らしくてオススメです。

 

帰りの車中も息子と楽しく話しながら帰る事ができ、最高の二人旅になった。

確実に旅に出る前と後ではお互いの信頼関係も違うと思うし、何より息子に取って自信になる経験が出来たと思う。

 

8才の時に富士山を登った事がある。

 

そう言える事が本人の自信に繋がると思うし、諦めなかったこと、目標を達成できたことは何より代え難い経験になるはずだ。

そして、俺自身、息子の成長を肌で感じる事ができて本当に良かった。何事も諦めないという姿をこれからも見せられる様な父親でありたいと思う。

 

〜悠々自適に生きる〜