屋久島に行ってきた
「9歳の試練」
我が家では9歳になると、親父(俺)と二人旅をして、試練を乗り越えなければならないという鉄の掟がある。きっかけは長男が昔、通っていたシュタイナー教育の教えから始まったのだが、単に親父が行きたいだけという説もある。
「9歳の危機」に関して詳しくは下記エントリーで解説している。
息子と富士山に登ってきた〜1日目〜 - 悠々日記〜7人家族その日暮らし〜
長男が9歳の時に富士山を登った時のエントリー。あれからもう2年。想像以上に月日が経つのは早い。
今回は次男が9歳になったので、
「富士山に登る」
or
「縄文杉を見に行く」
どちらが良いか本人に選ばせた。
最初は迷っていたが、屋久島には海もあると聞いて次男は屋久島に即決した。
やや動機が不純な感じもしないでもないが、俺が屋久島に行きたかった事もあり、今回の屋久島試練の旅が決まったのだ。
(因みに長男にも選択肢を与えたが、日本一の富士山に登ると自分で決断したのだ)
試練工程
初日
↓
ガイドさんが空港までお迎え
↓
そのままリバーカヤック直行
↓
ホテル到着。温泉に入り、次の日の試練に備える
2日目
朝4時ホテル出発
↓
5時〜トレッキング開始
約12時間かけて22kmのコースを往復
↓
ホテル到着。温泉に入り、試練の疲れを癒す
3日目
ホテルで朝食バイキング後、チェックアウト
↓
午後からシュノーケリング
↓
空港まで送迎してもらい、帰路に着く
こんな感じ。
試練?なのか?と思うかもしれない。
一見アクティビティの予定を詰め込んだだけにしか見えないが、これは間違いなく試練なのである。
遊びを通じて大事な事を学ぶ事ができるのだ。
(別に俺が遊びたいだけでは断じてない)
確かに二日間、風呂にも入れず山小屋で寝泊まりして、ひたすら富士山を登った長男と比べるとかなり充実した試練に思えるが、これもまた個性。良いんです!
兄貴と同じ、ではつまらんだろう?
こうして、次男と初めての二人旅で男の試練の舞台である屋久島を目指した。
リバーカヤック
朝一、妻に空港まで送ってもらいチェックインしてる時も、息子は少し緊張気味だ。
初めての飛行機ではないが、彼にとっても数年ぶり。緊張するのも仕方ないか。
だが、飛行機の離着陸の時にシートにしがみついて、やたらと怖がっている。
話を聞くと、ジェットコースターに乗ってからGがかかるのが余計に怖くなったらしいw
完全に俺のせい。かもwww
夏休みに長島スパーランド(東海圏なら誰でも知っているアトラクション特化型の遊園地)に連れて行った時に、折角来たんだから乗れるだけ乗ってこうぜ!って長男と次男を連れ回してジェットコースターに乗りまくったのを思い出した。2人とも乗り終わった後、泣く程怖がってたな。
怖がる息子を隣で笑う親父。
そんな調子で試練の旅が始まり、昼前には屋久島空港に到着した。
プロペラ機で到着した空港は想像以上にレトロな雰囲気で預けた荷物は正に手渡しでカウンターから貰う様な感じ。
少し空港でガイドさんを待ち、そのままリバーカヤックへ直行。
乗り方や練習も丁寧に教えてくれて、息子もすぐに慣れた様子。
屋久島は海抜ゼロメートルの河口付近からかなり上流まで高低差無く続いている珍しい地形らしく、難なく登っていけた。途中流れが厳しいエリアもあり、大人(割と年配の方かな)がリタイアしたポイントもクリアし、最上流まで行く事ができた。途中、魚釣りや網取り、川泳ぎもできて充実したイベントだったし、息子もすぐに乗りこなせた事が嬉しかったらしく、誇らしげだ。
縄文杉
2日目は早朝4時から今回のメインイベント、試練の縄文杉トレッキングに出掛けた。
往復22km,12時間かけて標高600mから約1300mを登って降りてくるのだから、文字通り試練だ。大人でもキツイし、ガイドさん曰く、つい昨日も10歳の子がギブアップしたし、先日も14歳の子が登れなかったと言っていた。
実際、このツアーには10歳以上じゃないと本来参加できないのだが、無理を言って参加させて貰った。(別に恫喝した訳ではない)
3時間もトロッコ道を歩き、そこから3時間かけて登山していく訳だが、休憩はかなり短い。
帰りは5時間かけて下山するので、休憩時間はトータルで1時間程度だ。
最近芸能人でいうとGACKTや女優さん(名前忘れた)がプライベートで屋久島に来たらしいが、どちらも縄文杉まで登らなかったらしい。もののけ姫で有名な白谷雲水峡に行ったそうだ。
そんな過酷なルートを9歳の息子がペースを落とさずに登って行けるか、多少の不安もあったが、本人は全く動じず、弱音を吐かずに登って行く。
頼もしいな。
素直にそう思った。
長男の時と同じ様にすれ違う人達が息子を見て驚き、歳を聞いてくる。
「3年!」「9歳!」
と応える度に「凄いねぇ」と返ってくる。
だが、それに対する反応は少し長男のソレとは違う。照れ隠しもあるが、一々喜ばないのだ。
父親の俺が褒めても
「ふーん」
とか
「別に」
なんてリアクションだ。
照れ隠しもあるが、
「これぐらい当たり前だよ」
ぐらいに思ってるんだろうと思う。
10歳の子が泣きじゃくってリタイアした話をガイドさんから聞いた時も
「だっせっ‼️」
と言っていたwww
次男が1番俺に似ているwww
妻からも言われるし、俺もそう思う事が良くある。気性が似ているんだろうな。
縄文杉に辿り着くまでに有名なウィルソン株など、いくつも絶景ポイントがあり、そこら中に信じられないサイズの切り株や倒木もあって登山中も全く退屈しない。屋久島の森は着生と言って岩盤の上に苔が生え、その上に木が根を張り成長している特殊な森らしい。
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遂に縄文杉に辿り着いた。
噂に名高く神聖で尊厳に満ちた雰囲気もあったが、観光地が進み近くまで行く事や触る事はできない。どこか寂しい雰囲気を感じる。
元々屋久島で1番大きい杉は大王杉と呼ばれる屋久杉であった。地元の伝承で山の奥に更に大きな杉があると知った当時の調査隊が縄文杉を発見したのだ。ほんの数十年前の話。
その時の感動は如何程だっただろうか。
そんな想いを馳せると感慨深くなる。
縄文杉の樹齢は不明だが、4000年〜7000年と言われているそうだ。
最早、神の領域。最強の御神木である。
15分程休憩して、下山スタート。
休む間も無くという感じだが、仕方なし。
下山途中、俺の足の裏はマメだらけになったが、息子は平気らしい。サクサク歩いて行く。
若さか。
無事に下山してクタクタになってホテルに戻り、温泉とビールが疲れた身体に染み渡る。
心地良い疲労感で部屋に戻ると2人ともすぐに爆睡した。こうして次男の9歳の試練は無事に完遂した。
シュノーケリング
3日目、午前中は疲れているだろうと予定を入れていなかったが、チェックアウトして暇を持て余していたのでホテル近くの海中温泉に行く事にした。
その名も平内海中温泉
干潮の時にしか入れず、脱衣所なし、水着着用不可の天然温泉らしい。しかも混浴。
コレは行くしかないと思い、タクシーの送迎をホテルに頼んだ。
15分程で到着し、1時間後ぐらいに迎えに来てと頼み、いざ海中温泉へ。
上がり湯小っさ‼️
思わず突っ込んでしまった。
コレは入るしかないだろう。
眼前に広がる壮大な海を見ながら、波の音が心地良い。
おっさん、全裸。
残念ながら他に誰もいなくて美女との混浴ハプニングは果たせなかったが、風呂に浸かりながら此処で後1時間風呂に入って待機してるのは無理だと気付いた。
息子は既に外に上がっている。
ヨシ。この後のシュノーケリングに備えて水着と水中メガネを持参していたので、隣の岩場で魚と戯れる事にした。
波が強く、岩場なのでかなり危ういが、少し内海になっている場所で潜ってみると透明な海中にお魚さん達が沢山泳いでる!
興奮して息子を呼んで一緒に潜る。これなら1時間はあっという間だな。
そう思っていた矢先、波にのまれた弾みで岩場の牡蠣の殻で指先を切ってしまい、
息子氏、流血。
テンション下がり、海から上がってティッシュで止血。
最後にもう一回温泉入って帰ろうと話していると外人のお姉さんが1人訪れた。
コレは⁉️まさかのハプニングか⁉️
と期待したが、当然外国のお方がこんな温泉に入る訳はない。
写真を撮って帰っていたので、気兼ねなく温泉に入る。相変わらず息子のテンションは低い。
ホテルに電話してタクシーに早めに迎えに来てもらう様に頼んだ。
ホテルでバンドエイドを貰い、シュノーケリングの迎えを待つ。暫くしてガイドさんが迎えに来てくれて、島の反対側のポイントに向かった。
息子は初めてのシュノーケリングで、泳ぎも余り上手くなかったが魚を見る為に夢中で泳いでいた。
前日の雨でコンディションはそんなに良くなかったが、息子にとって初体験というのはとても大事な経験だったに違いない。
その後、地元の温泉に連れて行って貰い、着替えて空港まで送って貰った。
これで屋久島試練の旅は終わりだ。
次男と2人きりで貴重な時間を過ごし、得るモノも多かった。
何より屋久島、楽しかった。
帰りの飛行機、息子に変化があった。
もう怖くないと言っているのだ。
離着陸の時もシートにしがみ付いたりしなかった。
日に日に成長しているんだな。
正に息子の成長を目の当たりにして嬉しい気持ちになる。試練の成果はこれだけではない筈だが、目に見えて成長していく息子を頼もしく感じた。
俺もまだまだ成長していかなければならない。
帰ったらまた忙しい日々が始まる。
リフレッシュできたし、また全力で走っていけるだろう。
〜悠々自適に生きる〜